詰めもの・被せものの治療について
- 2022年8月20日
- 詰め物・被せ物の治療(一般歯科),歯を失ってしまったら(咬み合わせ再建治療),審美歯科
虫歯には、いくつかの段階があります。
歯の内部まで達している虫歯の中でも浅いものでは、詰めものや被せもので治療します。
また、深くまで達している場合は根管治療を行った後で、詰めもの・被せものの治療をすることになります。
それにはどのような治療・特徴があるのか、その一部について解説します。
保険でできる詰めもの・被せもの
詰めもの・被せものの治療には、保険が適用される治療と保険が適用されない自費の治療とがあります。
まず、保険が適用される治療のうち代表的なものを紹介します。
ダイレクトボンディング治療という方法は、1回で治療が終了して歯を削る量も少なく、治療後は歯が白くなります。
治療で対応できる虫歯の大きさは、微小(薬液で歯の表面を少しだけ溶かす程度)から中程度です。
より変色性や耐久性の高い樹脂を使用する場合や、歯の形状そのものを大きく変更するようなケースは自費治療での適応となります。
金銀パラジウム合金やチタン合金を被せる、いわゆる銀歯の治療は、強度が高いため奥歯にも使用でき十分な咬む力を保険内の比較的安価な費用で発揮できるのが特徴です。
しかし、長期使用による腐食・イオン化による金属アレルギー発現の可能性や、汚れが溜まりやすく接着剤が溶けだすと隙間からむし歯になりやすい、X線を通さないためその後検診でのむし歯の発見率が低くなるなどのデメリットも多い治療です。
CADCAMレジン冠の治療は、近年保険適用の始まった新しい治療法で、前歯や奥歯に使用できる治療です。保険適用の歯で奥歯を歯を白く保つ場合はこの歯のみの適応となります。
金属を使用しないので、金属アレルギーでも安心です。しかし、樹脂(プラスチック)で歯を作るので強度を保つために歯を削る量が大きくなってしまいます。また当然、耐久性の部分は銀歯よりも劣ると言えます。また自費のセラミックの歯と比べて早期に劣化(磨耗・変色)が生じるため、理想的な治療とは言い難いです。
主に前歯の治療に使用される、レジン前装冠の治療もあります。
歯の表面を白くできるのが特徴ですが、歯の裏側には金属が出ているので金属アレルギーのリスクがあります。
保険が適用される治療は、こういったものが主となっています。
それぞれ、対応している虫歯の大きさや特徴などに違いがあるので、適した治療を選択しましょう。
自費治療の詰めもの・被せもの
自費治療となるのは、見た目を重視した審美修復や、入れ歯と組み合わせて治療するなど、歯に過酷な条件が加わる場合に取るケースなどが中心です。
どのような治療があるのか、解説します。
①ダイレクトボンディング(自費用樹脂)による治療
一般的に保険適用での樹脂治療の場合は虫歯を取った穴に樹脂を詰めるといった対応になりますが、その範囲を超えて、樹脂治療の最大の特徴である「歯を削る量が比較的少ない」ことを最大限に生かして行う治療になります。型を取らず、条件の過酷な(唾液がある、狭くて治療操作のしにくい)口腔内で、技工士が作る技工物並みの精度で治療を行う場合がこれにあたります。このため、口腔内で治療する時間が長くなってしまうのが最大の欠点ともいえます。
治療の際には樹脂を成型する為の装置や、唾液が混入しないようにする対応などが必要となり、これらはすべて保険適用外の機材を用います。また樹脂は強度に欠け、劣化しやすいためその樹脂材料も専用のものを用います。セラミックなどと比べてると長期使用による安定性・継続性には難があり劣化・変色がありますが、歯を削る量が少ない部分を重視するとこの治療が最適解と成る場合があると言えるでしょう。
②ゴールド・白金加金の詰め物・被せ物(金属治療)
ゴールドの被せ物は、昔ながらの治療法ではありますが安定性が極めて高く、食いしばりで歯を壊しやすいケースにも耐え、歯を削る量が比較的少なく済む点や、金特有のしなり(延性)の良さで、接着剤が機能を失った後も取れにくい、等の特性により生存性・信頼性の極めて高い治療法になります。保険の銀歯で治療した歯が咬み合わせの問題などで容易に脱落する方が、金歯を試したら安定した、というケースが多いです。
しかしながら、保険は適用できずしかも昨今の国際情勢等の問題から金属代が非常に高く、治療費も高額になりがちです。セラミックの歯とは異なり、汚れの付きやすさは金属特有のもので解決されていません。歯の清掃状態の不良な方の場合はセラミックを推奨し、強度が必要なケースの場合はゴールドを推奨いたします。
③非金属(オールセラミック・セラミックとジルコニアの複合材料)治療
オールセラミックの被せものの治療は、審美修復になります。
強度と精度が高く、他の治療方法と比べて圧倒的に汚れにくく、金属アレルギーの発現がないのが特徴です。このため、虫歯や歯周病の予防性に優れ、審美性とその持続性の極めて高い治療になります。近い治療方法で、より強度が高いオールジルコニアの歯やジルコニアで補強したセラミックの歯=ジルボンドセラミックの治療もあります。咬み合わせや歯の部位(前歯なら審美性重視でオールセラミック、奥歯なら強度重視でジルコニアやジルボンドセラミックが推奨される傾向にあります。
④金属・セラミックの複合の被せ物
メタルボンドセラミックには、ノーマルタイプと金合金タイプがあります。
歴史ある治療方法で、強度と審美性を兼ね備えているのですが、金合金タイプはさらに精度の高さと安定性が増しています。
1本の歯を治療するのではなく、Br(ブリッジ)や入れ歯のバネのかかる歯といった、咬む力が過剰にかかり破損リスクの高い歯への適応が推奨されます。
なお、メタルセラミックとオールセラミックの最大の差は、金属をつかうことによって生じる弊害が長期使用で起きるか、起きないかにあります。
上記のように、特に前歯においては条件の許す限り、メタルを用いないセラミックが推奨されると言えます。
まとめ
歯を削る治療では、その穴を塞ぐために詰めもの・被せものの治療が必要となります。治療の方法はいくつもあり、保険治療と自費治療にも分かれています。
その中から、自分が希望する治療法を選び、それが可能かどうか歯科医に相談しましょう。被せ物には自費のもの、保険の物を問わず、どの材質であれ、「利点」と「欠点」がありそれらを天秤にかけ、ご自身のお口の中の条件に当て嵌めてどの要素を最重視するかで、最適なものを選ぶ必要があります。当然、その選択基準には経済的な問題も含めなければなりません。
本院では治療情報を必ず提供し、自費・保険治療を問わずしっかりとしたご説明とカウンセリングの上で、お選び頂けるように配慮した治療を行っております。また、治療に悩んだ場合はご家族の方と相談して頂く時間を設けたり(特に経済的な事由ではこういった対応は必須であると考えております)、場合によってはセカンドオピニオンで他院の意見を聞いてもらう等も積極的に推奨しております。
患者さまには時に大きな決断をしていただかなければならないケースも時にあります。保険の治療・自費の治療金額の大小を問わず、判断に必要な情報提供を行い決断をしていただいた方にはその決断に十分な敬意をもって、丁寧な治療を行ってまいります。
町田市で歯医者さんをお探しの際には、是非、町田ごうデンタルクリニックにお問い合わせ下さい。
当クリニックは、最大限に歯の神経を残す治療を行っております。
抜歯を検討する前に、先ずはご相談下さい。
スタッフ一同、お待ちしております。