【町田で被せもの治療】保険適用のCAD/CAM冠治療はどのようなものか、解説します
- 2023年3月15日
- 詰め物・被せ物の治療(一般歯科)
歯の治療をしたときは、詰め物や被せものを装着して削った歯を補います
今回は、保険適用で白い被せもの治療を行う場合に適用される「CAD/CAM冠」がどのようなものか、解説します。
患者さんからもご質問されることが多い内容ですので、今回はかなり踏み込んだ情報提供となります。是非治療方針の決定の一助としていただけますと幸いです。
CAD/CAM冠とは?
CADCAM冠(クラウン)は保険適用の被せ物治療の材料の一つです。
クラウンには保険適用のものと、保険適用外のものがあります。
セラミックや金歯などは保険適用外なので、全額自費でお支払い頂く必要がありますが、銀歯やチタン冠、CAD/CAM冠は保険適用され一部負担金のコストしかかかりません。
このうち、CADCAM冠は保険適用の白い被せもので、コンピューターでデザインしてブロックをオートメーションで削りだして製作したクラウンです。
2014年以前はCAD/CAM冠は先進医療に分類されていて、保険は適用されませんでした。
しかし、2014年より小臼歯(4番目と5番目の歯)の適用が開始され2020年にはほぼすべての歯に対して保険適用となり、保険の範囲内で白い歯を実現できるようになったのです。
ただし、このCADCAM冠による治療は、歯科医院が厚生労働省へ届出を出す必要性があり、すべての歯科医院で治療を受けられるわけではありません。
(本院では患者さんの適用条件を満たす場合にご説明の上、ご選択頂いた方に治療を行っております)
CAD/CAM冠のメリット
1.保険適用の比較的低コストな被せ物で、奥歯まで歯を白く作ることができる
昔から歯科にかかっている方で「奥歯を白くするのは保険ではできない」と言われたことはありませんでしょうか。
治療技術が進歩した現在では、こういった説明の仕方は時代遅れのものとなったと言えます。
2.エナメル質よりすり減りの早い強化プラスチックの被せ物の為、歯の土台を痛めにくい
二つ目のメリットになります。比較的柔らかい材質の歯の為、すり減りも早く食いしばりの傾向のある方には不利な治療法と言えます。
耐久性に劣る、という表現をすることがありますが、被せ物「だけ」が壊れてくれれば次の治療のチャンスが生まれます。
ほぼ抜歯になりうる「歯根破折=歯が割れた」という状態は、咬む力が被せ物を通じて土台にダイレクトに力がかかる事で生じます。
この為、いつ抜歯になるか最早不明な状況の歯の場合、適用する意味のある被せ物と院長は考えております。当然、この歯に過剰な負荷がかからぬよう
他の不良部位の歯はしっかりと治療する必要があります。また、マウスピースを使用して頂くのも大事な対策と言えます。
3.金属アレルギーの心配がない
3つ目のメリットになります。昔は金属アレルギーの方の場合は自費治療のセラミックやジルコニアを治療材料に選択せざる得ず、治療費が高額になりがちな状況でしたが、
現在はCADCAM冠が選択肢に加わり比較的安価な治療法の選択ができるようになりました。
CAD/CAM冠のデメリット
CADCAM冠のデメリットはすべて、「材質が強化プラスチックだから」という部分に集約されます。特定の状況を除き医療上理想的な「第一選択」ではない治療法ではあります。
1.自費のセラミックの歯と異なり、色調等の劣化が早く出る。また細かな色調のオーダーは出来ない。
プラスチック製の為、経年劣化による黄ばみ、吸水による性状劣化が生じます。個人差はありますが、清掃状態が悪い人ほどこういったデメリットは早く発現します。
また色調はおおよそ5色から選ぶ形となり、グラデーションなどは単一的で模様などを描くことはできません。周囲の歯との整合性を追求する場合は自費のセラミック歯をお選び
頂く必要があります。
2.強化プラスチック製の歯の為、汚れがたまりやすい
歯科の治療材料は現在のところ、①金属 ②レジン(プラスチック) ③セラミック(ジルコニア)の3パターンのみです。
汚れの溜まりやすさは セラミック(ジルコニア)≒ご自身の歯>金属>レジン(プラスチック)となります。
CADCAM冠は歯周病やむし歯に対する抵抗性は極めて低い材質になりますのでセルフケア(ご自宅でのブラッシング等)とプロフェッショナルケア(歯科医院での定期検診・口腔清掃)
は必須と言えます。
3.自費のセラミックの歯より強度が低い為、磨耗しやすく、また歯を削る量が極めて多い
被せ物の材料強度に関しては ジルコニア>ご自身の歯≒セラミック≒金属>プラスチックとなります。
強度の低いCADCAM冠は、咬む力に耐えるようにするために土台の歯をより多く削る必要があります。この為、神経を傷つける可能性が
あることから、神経の生存している歯においてはなるべく適用しない方が良いと言えます。
神経を取った(神経のない)歯は神経のある歯とくらべ、再治療率が高い(奥歯では平均10倍)ことから神経の残されている歯こそ、
自費のセラミック等での治療の意義が最も高くなると言えるでしょう。
4.入れ歯の土台やBrの土台(繋げて歯をつくる)にCADCAM冠を用いることはできない
これも強度に由来するものです。入れ歯のバネがかかる歯にこの歯で治療をすると入れ歯の着脱時の負荷等で、短期間で破損する可能性が極めて高い為
本院では治療を行っておりません。この場合、保険の銀歯やチタン冠を用いるか、強度の高いジルコニアやセラミック歯のどれかをお選び頂く形となります。
またCADCAM冠はあくまで単独の歯の治療にのみ適用が可能で、複数の歯を繋いで作る治療(連結歯やBr)に用いることはできません。
5.CADCAM冠治療が出来ない場合もある
これは保険のルール上の問題となります。2023年3月現在では、すべての条件において前歯1番目~真ん中の歯5番目まで、単独の歯の治療で適用することができます。
しかし、6番目の歯にCAD冠を適用するには「上下左右の最後大臼歯(7番目の歯)が一本も欠損がないこと」が条件となります。
また、7番目の歯にCAD冠を適用するには「医科で自費金属アレルギーの検査」の結果、歯科使用金属にアレルギーがあることをが証明された場合のみ適用することができます。
同時に顎関節に近い部位での低強度の被せ物の適用には破損リスクがかなり高い点(再治療リスク)をご理解いただいた上での治療となります。
まとめ
どんな被せ物もそうですが、歯科治療の選択肢には必ずメリットとデメリットがあります。高額な自費治療であったとしてもデメリットは常に存在し、万能な治療法は存在しません。本院ではこうした情報を必ずご説明し患者さんが不安を感じることなく治療が受けられるよう努力しております。
当クリニックは、最大限に歯の神経を残し、ご自身の歯を守る治療を行っております。CADCAM冠は材質の特性上、歯を多く削るデメリットが存在する為、この部分に最大限留意し、安全性が十分に担保できる方に適用をご提案いたいします。
歯の神経を極力まもり、歯の抜歯を避ける為に丁寧な根管治療や歯の状況に合わせた被せ物治療が必要なのです。
抜歯を検討する前に、先ずはご相談下さい。
町田市で歯医者さんをお探しの際には、是非、町田ごうデンタルクリニックにお問い合わせ下さい。